2021年10月27日、彼のドラムでなくては、考えられなかった曲、「ふたりの星をさがそう」のレコーディングの日。1年半ほど待ちました。彼の体調が少しでも回復したら、知らせて欲しい!と。

そしてその日がやって来て!
スタジオロビーに現れた彼は、まず私のマネージャーのシャツに目をとめて…。「それ、ウチのシャツだよね」と。(高橋幸宏×martiniquegen’s。洗練されたメンズのための日常着)だったそうです。
やるじゃんマネージャー。

スタジオへの階段を上るには少し介添えが必要でした。スタジオで仮ドラムの音源を聴いてもらい、「では、やりますか」と、ブースに入った彼がサウンドチェックするのを聴き、何十年と培われた身体記憶(蓄積され熟し形成されたもの)を目の当たりにした驚き。というのが正直な気持ちでした。
それは、体調の悪さなど微塵も感じさせない、音色であり、ビート感だったからです。

レコーディングは何の問題もなく終了し。それからのユキヒロさんは、お話タイムに入り、私たちの気遣いもよそに饒舌で、スタジオのソファーに座って「ねぇねぇこの写真みてよ」と何時間も昔の話や、ワインの話や…。
ほんとに楽しそうでした。

もう音楽に復帰できないのではないかという不安や苦しみから解放された時間だったのだと、今は思います。

ありがとう、ユキヒロさん
またいつかどこかで!

大貫妙子